小児アトピー性皮膚炎と食物が関係する皮膚病

  食物アレルギーが関与する小児アトピー性皮膚炎  
  食物アレルギー・食物アナフィラキシー
(クラスI食物アレルギー)
  食物依存性運動誘発アナフィラキシー
food-dependent exercise-induced anaphylaxis(FDEIA)
  口腔アレルギー症候群
oral allergy syndrome(OAS)(クラスII食物アレルギー)
ラテックス-フルーツ症候群
latex-fruit syndrome
花粉-食物アレルギー症候群
pollen-food allergy syndrome
   
   食物アレルギーが関与する小児アトピー性皮膚炎 
 
乳児・小児のアトピー性皮膚炎では食物が誘引となる場合があります。
学童期に新たに発生した食物アレルギーは耐性を獲得し難いですが、80-90%の乳児は年長になるに従い、食物に対する耐性を獲得し自然にアレルギーから離脱します。
確かに経過中に食物アナフィラキシーを起こす方も少数おられますが、多くは自然に離脱することが多いのであまりご心配なさらずに乳児期の湿疹治療を根気よく続けましょう。
食物アレルギーにもかかわらず湿疹治療が重要な理由は、食物抗原がバリアーの破壊された皮膚(湿疹)から進入することで感作される(アレルギーが成立する)と考えられるからです。




     
  リウマチ・アレルギー情報センター 
     
  「食物アレルギー診療の手引き2008」
    海老澤元宏 厚生労働科学研究班
     
原則

  1. 湿疹がある場合は、まずしっかり湿疹の治療をします。
  2. 妊娠・授乳中の食物制限でアトピー性皮膚炎の発症は予防できません。
  3. 食物アレルギーが発症した場合は、正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去をします。
  4. 食物アナフィラキシーの既往がある場合は、食物アレルギーに詳しい基幹病院の小児科(アレルギー科は不可)で原因検索(食物負荷試験)と減感作療法を行います。
検査の評価 (正しい診断)

ひとつの検査だけではなく、いくつかの検査を組み合わせて一方の検査の弱点を補います。

血中抗原特異的lgE抗体検査 (lgE RAST・CAP RAST)

  1. lgERAST陽性とアレルギー症状が出現することとは必ずしも一致しません。
  2. 卵・牛乳・ピーナッツ・魚介類のlgERASTで設定レベル以上の場合は負荷試験陽性的中率が95%以上になり、負荷試験なしで除去食治療へ進むことができます。
    つまりlgERAST高値陽性は、抗原摂取量によっては即時型反応を生じやすいことを示唆しますので、lgERAST陽性・除去試験陽性が確認されれば、負荷試験はせずに除去食を開始します。
  3. 大豆・小麦のlgERASTレベルからは、負荷試験の結果は予測できません。
皮膚テスト (スクラッチ・プリックテスト)

感度・陰性的中率が90%と高く、特異度・陽性的中率が60%と低いため、食物アレルギー除外スクリーニングに適しています。CAP RAST陰性の場合の原因検索に適しています。

食物除去試験

疑わしい食物を1-2週間除去して、皮膚症状が改善するか調べます(食物日誌が有用です)。
母乳・混合栄養の場合は母親の食餌からも除去が必要な場合もあります。

食物負荷試験

専門施設の充分な管理下でおこなう必要があります。

   食物アレルギー・食物アナフィラキシー
(クラスI食物アレルギー)
 
食物を摂取することで感作され(経口感作)、感作された食物を摂食することで口腔症状のほか皮膚症状や呼吸器症状あるいはアナフィラキシーが発現する(経口誘発)疾患です。

治療と対応

治療は発症30分以内のエピネフリンの筋注です。
症状発現後4時間までは院内で経過観察するほうが良いです(無理なら入院施設のある医療機関へ搬送)。
 
  「食物アレルギー診療の手引き2008」
    海老澤元宏 厚生労働科学研究班
   

   食物依存性運動誘発アナフィラキシー
food-dependent exercise-induced anaphylaxis(FDEIA)
 
食物抗原に感作されてはいるが、原因食物を摂食するだけでは症状が発現せず、運動やアスピリン負荷を加えることで皮膚症状や呼吸器症状あるいはアナフィラキシーなどの臨床症状が発現する疾患を言います。

治療と対応

原因食物摂取から2時間(可能なら4時間)は運動を控えてください。
原因食物を摂らなければ運動は可能です(全面禁止する必要はありません)。

   口腔アレルギー症候群 
oral allergy syndrome(OAS)(クラスII食物アレルギー)
 
通常の食物アレルギーとは異なり、消化吸収の前段階である口腔粘膜における即時型食物アレルギー症状を言います。病態は特定の食物の摂取後口腔の刺激、瘙痒感、口唇腫脹や花粉症(鼻水涙眼)に類似した上咽頭鼻眼症状を呈し、まれに消化器呼吸器症状やアナフィラキシーショックをきたすこともあります。

ラテックス-フルーツ症候群
latex-fruit syndrome
 
ラテックスはゴムの樹木から得られる樹液で、これに含まれる多くの蛋白質抗原が生体防御蛋白質の病態関連蛋白質(感染特異的蛋白質や植物ストレス蛋白質)であるため、多くの果物・野菜の主要抗原と交差反応します。よってラテックスで感作されると交差反応を有する果物や野菜を摂取することで前述のOASや全身性の蕁麻疹症状、消化器症状やアナフィラキシー・呼吸器症状を生じることがあります。ラテックスだけでも全身性の蕁麻疹や鼻炎・眼症状、喘息症状や胃腸症状さらにアナフィラキシー症状を生じることがあり、接触蕁麻疹症候群として知られています。
検査はCAP RASTのみでは一致しないことが多く、プリックテストや誘発テストが必要になりますが、ショックに対応可能な施設で行う必要があります。
交差反応性の高い食物としてバナナ、アボガド、キウィ、クリ、ジャガイモ、トマトがあげられています。
 
花粉-食物アレルギー症候群
pollen-food allergy syndrome
 
OASのなかで花粉症を合併するものを言います。花粉が気道に吸引されることによって感作され、次に花粉と交差反応性がある食物が口から入り口腔粘膜で症状を引き起こす疾患です。


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